メダカを繁殖させる際、変わった形質(形質)を固定させようとしても違う見た目のメダカばかり生まれてしまったことはありませんか?
繁殖ではオスとメスの遺伝子を子がそれぞれ受け継ぎますが、都合よく目的の形質が現れないことも珍しくはありません。それには「優性遺伝」と「劣勢遺伝」が関係しています。
目的のメダカを作出するためには必要不可欠な知識なので、品種改良に挑戦する方は知っておいた方が良いでしょう。
今回は、メダカの繁殖では重要なポイントである優性遺伝と劣性遺伝について解説します。
AQUAさん
メダカの繁殖に必要な予備知識“遺伝”について
メダカを繁殖させるのであれば、“遺伝”について知っておいても損はありません。
メダカに限ったことではありませんが、雌雄を持った生き物が繁殖する場合、子にはオスとメスそれぞれの遺伝子が組み合わさって受け継がれます。
この一連の流れを“遺伝”と呼び、子には親と同じ、もしくは片親の形質が現われます。
優性遺伝と劣性遺伝
遺伝の部分で「遺伝子が組み合わさって受け継がれる」と述べましたが、この遺伝子には“優性遺伝子”と“劣性遺伝子”があります。
優れている遺伝子、劣っている遺伝子とよく勘違いされがちですが、
優性遺伝子=現れやすい形質を持った遺伝子
劣性遺伝子=現れにくい形質を持った遺伝子
という意味合いがあります。
繁殖ではいくつかのパターンから遺伝子が受け継がれ、優性遺伝子の形質が現れる遺伝を「優性遺伝」、劣性遺伝子の形質が現れる遺伝を「劣性遺伝」と呼びます。
優性遺伝子と劣性遺伝子が組み合わさった場合、劣性遺伝子の形質が現れることはありません。
例えば、人の場合は二重まぶたが優勢遺伝子で一重まぶたが劣勢遺伝子なので、二重まぶたの方が遺伝しやすいことがわかっています。
メダカの繁殖における優性遺伝と劣性遺伝
メダカを繁殖させる場合も優性遺伝と劣性遺伝が大きく関係します。
遺伝子にはいくつかの型があり、これを“遺伝子型”と呼びます。
例えば、
A:優性遺伝子
a:劣性遺伝子
として、いくつかの組み合わせを考えると、
AA×AA=A
AA×aa=A
Aa×Aa=Aもしくはa
aa×aa=a
といったパターンが考えられます。
もし、目的の形質がaだった場合、AAの遺伝子型を持つメダカとかけ合わせるとAの形質が現れてしまい、思い通りの形質が子に現れることはありません。
ただし、生まれた子はAaの遺伝子型を持つため、近親交配させると目的の形質が現れる場合があります。
目的の形質を持ったメダカを繁殖させたのに、子には現れず孫の世代で現れる、ということも不思議ではありません。
そのため、繁殖を重ねて理想のメダカを作出するためには、目的の形質が優性遺伝子なのか劣性遺伝子なのか把握しておくことがとても重要です。
ただし、遺伝子がわかっていても、それに加えて、
- メダカ同士の相性
- 生まれた子の生存率
など、さまざまなハードルがあるため、品種改良や品種を固定することは簡単ではありません。
そう考えると、メダカの専門店で販売されているメダカの値段もうなずけるのではないでしょうか。

目的のメダカを生み出すためには優性遺伝と劣勢遺伝の考え方が必要
メダカの繁殖で目的のメダカを生み出すためには、優性遺伝と劣勢遺伝の考え方が必要不可欠です。
遺伝は目に見えず複雑ということもあって、尻込みしてしまう人も少なくありません。しかし、思い描いた模様や体色を作出したり固定できたりなどしたときは、やりがいを感じます。
生き物の飼育としては一風変わった楽しみ方ではありますが、興味のある方は挑戦してみてはいかがでしょか。

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